呪われた国日本への道―天野千春の雑記帳

天皇制解体の動きが活発化している。このままでは日本は、その歴史と伝統に呪われても仕方がない。天野千春の雑記帳。

モーツァルト 交響曲第41番ハ長調「ジュピター」K.551(3)曲の内容:第1楽章 Allegro Vivace

2 曲の内容

Ⅰ 第1楽章 Allegro Vivace

 第1楽章は、Allegro Vivaceハ長調、4分の4拍子で、ソナタ形式です。
 モーツァルト交響曲としては比較的長い第1楽章で、全体で313小節あります。
 楽章の構成は次の通りです。尚、特に断りがない場合数字は小節数を表しています。

・呈示部 1-120
     第1主題呈示部分  1-23  ハ長調
     経過句A  24-55 
     第2主題呈示部分  56-80  ト長調
     経過句B  81-100
     第3主題呈示部分  101-120 ト長調
・展開部 121-188
     第1部  121-160 変ホ長調からヘ長調、第3主題の展開
     第2部  161-180    ヘ長調、第1主題の展開
     第3部  181-189 ホ長調からハ長調
・再現部 189-313
     第1主題  189-211 ハ長調
     経過句A  212-243
     第2主題  244-259 ト長調
     経過句B  260-288
     第3主題  289-313 ハ長調

 


ⅰ 呈示部(1-120)

a 第1主題呈示部分(1-23)

 第23小節のG音フェルマータまでが第1主題(1-23)を形成します。重要な動機はK.504を思わせる冒頭の4小節で、fの2小節とpの2小節の対比となっています。
 fの2小節は、ティンパニを含んだユニゾンで1拍目と3拍目でC音が同音連打で強調され、その間は、属音のG音からの上行三連符が組み込まれ、リズミカルな印象を与えます。
 休符を挟んだpの2小節では、弦楽器によって付点リズムによる応答が和声的に奏され、前2小節と対比されます。この第3-4小節の付点リズムは、楽想を構成する重要な動機で、この動機を(a)としておきましょう。
 さて、この4小節の動機が属音のGを基点に繰り返され、第9小節からは、ハ長調交響曲の伝統であるファンファーレがトゥッティで高らかに鳴り響きます。ここで注目すべきは、第一に冒頭動機の上行三連符が中弦によって下行32連符として反転していること。これが管楽器の同音連打と伴っていることで、冒頭動機が継続し、移行が非常にスムーズになされます。第二は、第1ヴァイオリンの動きです。第9小節から1・4拍目に音がありますが、4拍目の音の進行を取り出してみると、(C-F-G-C-F-G…)と、ハ長調サブドミナントとなっており、力強い行進を助けているのです。
 このファンファーレはそのまま拡大され、第17小節からは下行32連符が消えて和声的な進行となり、クライマックスを築くと、第23小節でG音のフェルマータで半休止。第1主題の呈示部分が終わります。


b 経過句A(24-55)

 続いて第24小節からは、第1主題を使用した、第2主題への経過句Aが始まります。
 第1主題の旋律はヴァイオリンで奏されますが、ここでは4小節の間におけるfとpの対比はなく、pに統一されています。一方で、フルートとオーボエに2分音符オクターヴ上昇→8分音符オクターヴ下行進行というK.504対旋律が加わっています。これは、ホルンの対旋律とも合わさって、ホモフォニーであった第1主題が対位法的なポリフォニーへと発展したと見ることができるのではないでしょうか。
 第30小節からは、付点リズムの動機(a)の後半部分が繰り返され、和声が短調に変調しますが、第37小節で属調ト長調に至り安定します。
 第39小節からは、(a)とファンファーレの音型が組み合わさって、和声的に繰り返され、第49小節からは(a)に代わって下行32連符が出現し、ファンファーレによって、経過句Aが締めくくられます。


c 第2主題呈示部分(56-80)

 ソナタ形式ですから、第2主題は勿論ト長調です。
 第2ヴァイオリンによる8分音符伴奏の上に、第1ヴァイオリンが主題旋律を載せます。主題は、6小節をひと纏まりとして、2小節の半音上行→2小節の下行で属音Dに至る→付点リズムの動機(a)の変化形+半音階上行の形をとっています。
 ソナタ形式にかかわらず、主題と主題は比較されますが。この第2主題は第1主題と比べてどのような違いがあるでしょうか。
 例えば、リズミカルであまり旋律的な要素をもっていなかった第1主題と比べると、第2主題はかなり旋律の形がはっきりしています。また、トゥッティの多かった第1主題と比べると、伴奏と主旋律がヴァイオリンに固定され、そこに管楽器が合いの手を挟むという形をとっています。あるいは、第1主題が8小節をひと纏まりとした構成だったのに対して、第2主題は6小節がひと纏まりになっており、付点リズムの動機(a)の音価が半分になり、上行から下行になっていることもそうでしょう。
 ところで、第2主題冒頭の2小節の半音上行(56-57)は、実は第48小節に既に現れています。こうした先行する動機から有機的に旋律や楽想を導くことは、モーツァルトが得意とするところです。
 さて、第56小節から始まった第1ヴァイオリンの第2主題は、第62小節からは1stファゴットを加えて繰り返されます。第67小節からはフレーズを完成させるためにフルートが入って、第71小節でフレーズは終止しようとしますが、低弦が付点リズム動機(a)を挟みこんで第1主題におけるファンファーレの要素(下行32連符)のあるパッセージを導いて、終止を阻止します。
 しかし、そのパッセージも第79小節で属七(F)に至ると、第1楽章がフェルマータで経過句Aに移行したように、第80小節でゲネラルパウゼになり、経過句Bに移行します。


d 経過句B(81-100)

 第81小節からは、第1主題に基づくポリフォニックな経過句Aとは対照的に、ハ短調の和音が力強く連打されます。この同音連打の力強さは、第1小節から第2小節を想起させます。
 短調和音は、第83小節で半音上がってハ長調に回帰すると、ヴァイオリンがハ長調の分散和音で上行し、第88小節で一区切りとなります。
 その後、第89小節からは、G音の保続音上で付点リズム動機(a)がヴァイオリン、ファゴット、低弦に現われます。
 第94小節からはヴァイオリンはシンコペーションに回り、木管が(a)を受け継いでクライマックスを形成、第100小節でゲネラルパウゼし、推移句Bを終えます。


e 第3主題呈示部分(101-120)

 第101小節からは、呈示部の終結句として第3主題といってもよい、新しいフレーズが現れます。この主題は、サルティ(Giuseppe Sarti)のオペラ『野暮な嫉妬 Le gelosie』のためにアンフォッシ(Pasquale Anfossi)が書いたアリアから採られています。
 低弦の分散和音による伴奏の上で弦楽器が旋律を奏し、順次木管が加わってゆきます。また、この旋律の最後の2小節に(107-108)付点リズム動機(a)が付け加えられていることにも注意しなければなりません。
 第111小節からはトゥッティにより呈示部のクライマックスが形成され、第117小節からは第1主題ファンファーレの要素が加わって、呈示部が終結します。


Ⅱ 展開部(121-188)

a 第1部(121-160)

 第121小節から第123小節にかけて、木管の和声進行によってト長調から変ホ長調への転調が行われます。その後、変ホ長調で第3主題が奏され、第133小節からは旋律の最後の小節が繰り返されて第3主題の展開が始まります。
 まず、第133小節から第139小節にかけては、上行し、変ホ長調からヘ短調ト短調へ転調します。第1主題のファンファーレ伴奏の上で、2小節を単位とする繰り返しを、ヴァイオリンと低弦が1小節ずらして交互に奏します。
 第139小節から第146小節にかけては経過句Aのオクターヴ上昇を想起させる伴奏の上で、繰り返しが下行形に変化します。同時に、1小節だったズレが、半小節に短縮され、第143小節から第144小節においては、繰り返しの単位も1小節に短縮されています。
 第147小節以降は、極めて華麗な転調が続きます。
 第147小節から第153小節にかけては、ト短調からニ短調イ短調ヘ長調を介してホ長調、そして第153小節から第161小節に向けてヘ長調への転調が行われています。ここでは、フルートの半音進行(155-156)、弦の半音進行(157-160)の動きが重要になっています。


b 第2部(161-180)

 第161小節からは、ハ長調サブドミナントであるヘ長調によって第1主題の再現が偽装され、展開されます。偽装といっても全体のダイナミクスはpですし、推移句Aのオクターヴ進行が入っており、何よりもヘ長調である点で展開部の範疇を出ません。
 この第1主題の前半部分が展開されて第171小節でイ短調に達すると、第1主題後半のファンファーレ部分が展開されます。ここでは、ヴァイオリンによって上行三連符、下行32連符という第1主題の前半後半の特徴が一緒に使われ、展開部のクライマックスを築きます。


c 第3部(181-189)

 第153小節から第161小節への転調と同じように、第3主題最後のフレーズが繰り返されて、第181小節からハ長調による再現部に向けた転調が行われます。但し、前者の繰り返しがヴァイオリンが主体であったのに対して、後者は木管が主体となっています。
 転調の末に第188小節でハ長調構成音による下行が始まると、ハ長調による再現部が導かれます。


ⅲ 再現部(189-313)

a 第1主題再現部分(189-211)

 ハ長調によって呈示部と同様に再現されています。


b 経過句A再現部分(212-243)

 調性にいくらか変化がありますが、そのほかは同じです。


c 第2主題再現部分(244-268)

 呈示部でト長調であったところ、ハ長調で再現がなされています。また、木管の装飾が豊かになっています。

d 経過句B再現部分(269-288)

 調性にいくらか変化がありますが、そのほかは同じです。

e 第3主題再現部分(289-313)

 ハ長調によって再現され、最後はそのまま主和音を強奏して第1楽章を終えます。




Symphony No.41 in C major, K.551 (Mozart, Wolfgang Amadeus) IMSLP(平成29年6月9日アクセス)
http://imslp.org/wiki/Symphony_No.41,_K.551_(Mozart,_Wolfgang_Amadeus)

Sisman, Elaine Mozart:The 'Jupiter' Symphony. Cambridge University Press, 1993
辻荘一解説『モーツァルト交響曲第41番「ジュピター」ハ長調 K.551』全音楽譜出版社、2009年


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